アドビ認定プロフェッショナルの概要や取得方法、勉強方法や取得の意味など僕自身の経験から解説します。
「アドビ認定プロフェッショナル」って何?
「Adobe Certified Professional(アドビ認定プロフェッショナル)」は、アドビ社(Adobe Inc.)が公認する国際認定資格であり、Adobe Creative Cloudを活用するスキルがあることを証明する資格となります。
以前は、アドビ認定アソシエイト「Adobe Certified Associate(ACA)」という名称でしたが、2021年6月からアドビ認定プロフェッショナル「Adobe Certified Professional」に名称が変更されています。
試験に合格するとこのようなデジタル認定証が発行されます。取得した資格には有効期限はありません。
また・デジタル認定証とは別にデジタルバッジも発行され、PhotoshopとIllustratorのどちらも取得すると虹色グラデーションのバッジが発行されます。デジタルバッジはダウンロードができるので「アドビ認定プロフェッショナル」の取得の証明に自身のポートフォリオに使用することが許可されます。
「アドビ認定プロフェッショナル」資格の種類
資格の種類は「Photoshop」「Illustrator」「Premiere Pro」の3種類があり、PhotoshopとIllustratorにはバージョンによって以下の種類があります。
Photoshop
・「Visual Design using Adobe Photoshop2020」
・「Visual Design using Adobe Photoshop2021」
Illustrator
・「Graphic Design & Illustration using Adobe Illustrator2020」
・「Graphic Design & Illustration using Adobe Illustrator2021」
違いは単純に新機能の追加などによっての違いだけで基本的には同じ資格
なので好きな方や慣れているバージョンの試験を選択することができます。ちなみに僕は、Photoshop2021とIllustrator2020を受けています。
出題される範囲
試験での出題範囲は以下になっています。それぞれ別々の試験になっていますが「1,デザイン業界で働く」「5,デジタルメディアの公開」などPhotoshop、Illustratorで共通している項目になっています。
Visual Design using Adobe Photoshop2020/2021
カテゴリー | 内容 |
1.デザイン業界で働く |
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2.プロジェクト環境の設定とインターフェイス |
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3.ドキュメントの整理 |
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4.視覚的要素の作成と変更 |
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5. デジタルメディアの公開 |
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Graphic Design & Illustration using Adobe Illustrator2020/2021
カテゴリー | 内容 |
1.0 デザイン業界で働く |
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2. プロジェクト環境の設定とインターフェイス |
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3. ドキュメントの整理 |
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4. 視覚的要素の作成と変更 |
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5. デジタルメディアの公開 |
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Digital Video using Adobe Premiere Pro 2020
カテゴリー | 内容 |
1. 映像業界で働く |
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2. プロジェクトの環境設定とインターフェース |
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3. ビデオプロジェクトを整える |
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4. 視覚的要素の作成と変更 |
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5. デジタルメディアの公開 |
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https://adobe.odyssey-com.co.jp/outline/
受験料と受験資格
受験料は以下の設定で、受験にあたっては年齢・国籍も問われません。
アプリケーションの種類 | 試験科目 | 受験料 |
Photoshop | Visual Design using Adobe Photoshop 2020 Visual Design using Adobe Photoshop 2021 | 一般価格)10,780円(税込) (学割価格) 8,580円(税込) |
Illustrator | Graphic Design & Illustration using Adobe Illustrator2020 Graphic Design & Illustration using Adobe Illustrator202 | 一般価格)10,780円(税込) (学割価格) 8,580円(税込) |
Premiere Pro | Digital Video using Adobe Premiere Pro 2020 | 一般価格)10,780円(税込) (学割価格) 8,580円(税込) |
どこで試験を受けられるのか?
日本ではまだまだ普及していない資格なので、試験会場はほぼ関東に集中しています。会場によって試験頻度にばらつきがありますが、新宿にある「パソコンスクールISA 新宿エルタワー校」がほぼ毎日受験できます。
https://apply.odyssey-com.co.jp/center/search100.php?examtype=31
試験当日の準備
試験当日は指定された席で行っていきますが、その際、試験をスタートさせる前に自分のアカウント情報と紐づけるためログインが必要です。
そのためには試験申し込み時に届くメールに記載されているリンクからアカウントを作成しておかなければなりません。そこで作成したIDやパスワードを控えて試験当日は忘れず持っていきましょう。
アカウントをを作らず試験会場に行ったら「アカウントを作るところから」みたいになりかねないので気をつけてください。
受験までの流れ
受験までの流れは以下になります。
①公式サイトから試験会場を選んで日時と科目を選択し予約
②主催している「 オデッセイコミュニケーションズ」に登録し受験IDを発行
③試験日当日に「受験IDとパスワード(試験場でログインが必要なため)」「受験票(発行されない場合不必要)」「顔写真付き身分証」「学生証(学割申込者)」を用意し5分前までに試験会場へ到着
同科目の再試験にはルールがある
同じ科目の試験を繰り返し受験する場合、以下のルールが設けられています。
2回目 | 前回の受験から1日(24時間)待つ必要がある |
3回目以降 | 前回の受験から5日間(120時間)待つ必要がある |
その他の注意事項 | ※ 合格した試験の再受験は可能ですが、2回目以降の合格時には合格認定証が発行されません。 ※ 受験者がルールに違反した場合、すでに取得した資格の認定取り消し、およびAdobe認定を受ける資格を永久に失う可能性があります。 |
試験の出題形式と合格点
出題される問題数は選択問題が15問ほどで、操作問題が15~20ほどで、PhotoshopとIllustratorの試験によって問題数がそれぞれ多少変動がありました。最初に選択問題が出題され、その後、操作問題(実技問題)に移ります。
出題形式はすべてPC上で行われるCBT(Computer Based Testing)形式になります。試験時間は50分で受験者が問題をスタートさせた時点でPC画面上に50分のカウントダウンが表示されます。時間が0になると自動的に操作不能になり終了します。
合否の結果は、終了させた時点で画面上に表示され、700点以上で合格となります。結果レポートは自分のアカウントでいつでも確認できます。
すぐに表示されるので、結果待ちの「ドキドキ」を味わう瞬間がありませんでした。また持ち時間が余り早く終わらせたい場合、終了させればすぐに結果が出るので早めに帰ることもできます。
概要 | 詳細 |
問題数 | 全部で30~35問 |
出題と回答の形態 | 出題や回答はコンピュータ上で実施されるCBT(Computer Based Testing)形式で行われ、それぞれ選択形式、ドロップダウンリスト形式、クリック形式、ドラッグ&ドロップ形式で回答を選択。同様に操作問題(実技問題)も出題されます。 |
試験時間 | 50分 |
それぞれ10問のサンプル問題を無料で受けることができるので確認してみてください。
合格率や難易度は?
合格率については公表されていません。ビギナー向けとはいえ「誰でも簡単に出来、誰でも合格する」というわけでもなく、それなりに学習しないと合格は難しいです。「それぞれのアプリケーションの理解と基本的操作や多少のデザイン知識」など出題範囲にある内容の理解は必須。
独学での勉強時間
これはどのレベルからスタートするかによって個人差がありますが、僕の場合はPhotoshop、Illustratorが初めてではなかったので、1日2時間ほどを2週間くらい勉強を行いました。なので、ある程度操作に慣れているのであれば、あとは普段あまり使うことのなかった機能を細かく網羅的(各機能の基本的な操作方法全般)使い慣れていけば大丈夫だと思います。
まったく初めてから(触ったこともない)の場合、アプリケーションの理解から操作方法に慣れていくまで時間はかかりますので、1日にどの程度携わるかにもよりますがそれぞれ2か月ほどは必要なんじゃないかなと思います。
学習方法と対策問題
僕自身の学習法なので一概にこれだとは言いにくいですが、全く初めての場合はもちろん、ある程度操作に慣れている場合でも学習の補助になるので以下のテキストがおすすめがPhotoshopやIllustrator CCの「アドビ認定プロフェッショナル」試験に対応した公式テキストです。
教科書の内容の部分的にPhotoshop/Illustrator2020/2021のバージョンによって変更された部分の相違点および差分がありますが、修正し解説したPDFが無料で提供されているので試験対策において有効なテキストでした。その項目を学習してから受験されることをおすすめします。
この2つの教科書は「Amazon」でも購入が可能です。
もう一つの試験対策として役立ったな感じたのは試験問題を想定した練習問題です。これも公式サイトで購入が可能で、内容は選択やドラッグアンドドロップ形式の問題集と操作形式の模擬問題集になり、試験形式に少しでも慣れていくために有効です。
また、例えばテキストで「AはBをすることができる」と覚えた場合と質問形式で「BをするにはAから選択する?」と聞かれた場合とで、頭の中で一致せず「あれっ、そうだったかな?」となることもあります。
そうならないためにテキストで学習し操作を覚え慣れていき、それを質問されたとき的確に答えられるようにする訓練が必要です。ですので模擬問題集は結構おすすめです。
模擬問題はPhotoshop、Illustratorでそれぞれ30問×3パターンの計90問用意されています。
操作問題と25問の操作問題×3パターンの計75問揃っています。操作問題は出題用のファイルをダウンロードして行っていき、出題の回答はテキストと動画が用意されています。
ワンポイントアドバイス
学習していく段階でいきなりショートカットキーを覚えていくことはお勧めしません。どこにどのツールがあるのかを覚えていく必要があるので「ここにメニューにはこれがある」ということと、アプリケーションのアイコンとその名称を一致させ覚えた上でショートカットキーになれることが望ましいと個人的に考えます。
理由は、初めは「より速く」と作業効率を考えるより、正確にアプリケーションを理解し扱えるようにする「より正確に」作業する方が「理解しやすい」と経験上感じたからです。実際、「ショートカットキーで覚えてたけどどこにそれがあったかな??」って僕自身もよくありました。ですのでしっかり覚えた上でショートカットキーを覚えた方がいいです。
最初はパネルのアイコンを見慣れておくためにも「ウィンドウ」メニュー「ワークスペース」から「初期設定」でアイコンを並べておくと覚えやすいです。
学習の流れのまとめ
1,テキストを読みながら操作を行って慣れていく(理解や操作に慣れるまで何度も繰り返す)。
2,テキスト内容の理解や操作に慣れたら模擬問題を行う。3,模擬問題で間違ったところや正解だったけど苦手な部分をテキストを使って復習する。
4,(2)(3)を繰り返し「大丈夫だな!」と感じたら試験に申し込み。
繰り返し行えば覚えていけます。またここまでの内容を理解出来たら合格はほぼ可能だといえます。
取得する意味はあるのか?ないのか?
結論から言うと「ないよりあった方がいい」です。ただしデザイナーとしてすでに活躍している方や、いわゆる「クリエイター的な活動」においては取得する意味もあまりないかと感じます。
そもそも「アドビ認定プロフェッショナル」の対象は「ビギナー」向けとされます。以下を考えている場合は資格取得を通して少しでも「有利」に働くと言えます。
・PhotoshopやIllustratorをこれから始めたい
・これからキャリアをスタートさせたい
・PhotoshopやIllustratorを触ったことがあるけど基本的なことからしっかり理解しなおしたい
・キャリアチェンジを考えている
・キャリアアップを考えている
・パソコンインストラクターや教える仕事をしたい
・自信をつけたい
なぜ「有利」に働くと言えるのかは、「デザイン」に関連する仕事は「一人で成果物を作る」だけにあるわけでもありません(フリーランス以外)。チームで制作するなら役割を分担しそれぞれが担当する工程を迅速に完了させる。といった部分的役割を担うことは当たり前になります。
そのような場合、指示内容をいかに迅速かつ正確に守っていくかが求められます。あらゆる人がいきなりデザイナーとして活躍できるものではないので、最初は事務的な作業をすることの方が多いくなりそれに適した人材が必要です。
企業側が新しく人材を確保したいと考えたとき、グラフィックアプリケーションの操作能力が一定の基準にあることを示す「根拠」がある方がアピールポイントとして採用において有利に働くのは当然になります。実際に求人の歓迎スキルで「Adobeツール(AdobePhotoShop/Adobelllustrator)」「HTML/CSS/JS」「アドビ認定アソシエイト取得者」と記載している企業も存在します。
また「制作者」としての道だけではなく「サポートする役割(操作等を教えていく)」もあります。例えばパソコン教室やスクールの講師などは、教えていく上で「資格」はないよりあった方が「教える」仕事において説得力があります。
どの道に行くか、自分がどのポジションにあるのかで必要性は変わるものですが、とくに最初の一歩であるのなら覚えていく段階で取得する意味はあるのではないでしょうか。
よく言われる「デザイナーはに資格はいらない。成果物の結果がものをいう」ように知識や資格よりも「実務経験」が重要視されています。ただ、第一線で活躍するデザイナーも最初は覚えていくことからスタートしています。
とくに独学では効率よく学習していくという意味でも資格取得は一つの目標になりバイタリティー維持にもつながります。
参考までに、公式サイトに「合格者の声」が掲載されているので引用します。
合格者の声
ACAを取得しようと思った理由は?
ACAのことは、毎年4月に行われている学科全体のオリエンテーションで初めて知りました。Adobe のIllustratorとPhotoshopは、グラフィックデザインを学んでいくうえで必要なアプリなので、偏った知識でデザイン作業を進めていくよりも、各アプリの便利な機能を知ったうえで制作していくほうがデザイン表現にプラスになると考え、ACAを取得しました。また、資格取得によって自分の制作物に自信が持てるのでは・・・という思いもありました。
どのような勉強方法で試験に臨みましたか?
IllustratorとPhotoshopは、1学年の前期の授業で基本的な使い方を学び、その後のデザイン制作等でも実践的に使っていましたが、受験勉強には、主に対策テキストを活用しました。テキストをよく読んで、その直後に実際に操作しながら覚えていく−−。これを繰り返しました。その他にも、コントロールパネルやメニューバーなどを日常的に意識的に開くようにして、どのような機能があるのかを細かく把握して何度も試しました。
実際に受験した印象を教えてください。
試験には、機能や操作についての問題だけでなく、デザイナーに必要な基礎知識などが問われる選択問題なども含まれているので、デザイン制作を進めていくうえで必要とされる総合的な考え方を試されている感じがしました。それでも、回答を重ねていくうちに手応えが感じられ、自分に力がついていることが実感できました。
資格を取得してもっとも良かった/役立ったことは?
日々感じているのは、作業の効率アップです。いままで知らなかった機能を積極的に使うようになったことで、作業時間が格段に短縮化されたので、その分、デザインの質のほうに意識と時間を割くことができています。“自分が感じたことをカタチにする方法を学びたい”という思いをもってこの学科を選んだので、卒業後は、「デザインを通じて、より多くの人に思いが伝わる」という楽しさを積み重ねていけるようなクリエイティブに携わっていければと思っています。
「メリット」「克服しなくてはいけないこと」まとめ
メリット | 克服必須 |
・資格取得までの学習で一定レベルの理解とスキルが身につく ・IT系の就職・転職に活用できる ・PCインストラクター、講師としても活用できる ・自信がつく | ・勉強時間の確保(1日1~2時間、1~2か月ほど) ・PhotoshopやIllustratorのアプリケーションが必要 ・最初はわからないことだらけで挫折しそうになる ・資格取得にかかる費用 |
出題指示以外の方法もあるけれども
例えばAという結果にたどり着く過程で、Bの方法やCの方法あるいはDの方法といったように同じ結果であっても方法論は一つではありません。ただし出題や指示が指定されたやり方だった場合は、その指示内容に従うようにしてください。
「いやっ、これ以外の方法もあるのに!」と思うことはあるかもしれませんが、もしそれが仕事で「クライアントの意向」であったなら優先しなくてはいけません。提案をすることが求められる立場で求められる場合以外で「こうしてください」と指示があればそれに従うことが必然です。
そういった意味合いでも「出題に指示があればその方法で行う」ということです。
試験会場ではこんなトラブルもあります。
試験はPC上で行うCBT(Computer Based Testing)形式で行われます。PCなので突発的なフリーズや不具合は起きるものです。そのような場合はすぐに対応してもらいましょう。試験中にトラブルが起きたときは自分で何とかしようとしないことです。
実際、不具合で操作ができなかったとき席替えすることもありました。最初からやり直ししなくてはいけないということもあります。
また、トラブルではないですが、試験用のPCは一画面の中に操作領域と質問(課題)が表示されます(かなり狭く感じます)。とくに普段マルチディスプレイで慣れている方には「狭さ」対策に試験前は一画面で少し慣れておくといいかも。
最後に
最後まで読んでいただきありがとうございます。最初は勉強しながら何度も挫折しそうになるかもしれません。でも「挫折」は誰もが同じように経験します。それでもなお継続していけるかどうかが「結果」になります。さまざまな目的があって「アドビ認定プロフェッショナル」の取得を考えていると思います。この記事があなたの「決意」の糧になれること、そして「合格」を心より願っています。ぜひ、当ブログの基礎コンテンツも活用してみてください。
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PS、「合格」しました!などコメントや報告を待ってます。取得に向けて頑張っていきましょう!